「クリニック・病院の集患戦略」・・・何をどこに

エリアとターゲットとその種類

エリア設定

  • 診療圏調査に基づく広告展開のエリア設定

自院の診療科目、診療内容をもとにどこまで診療圏内を設定するのかを把握し、広告展開エリアを設定しましょう。

診療科目によって診療圏内が異なります。内科の標榜で5・6kmも離れたところに広告展開しても集患に結び付けるのはむずかしいでしょう。また専門的な診療ができるのにも関わらず、狭い地域のみで展開してもπが小さくなるだけです。

そのあたりをよく調査し診療圏内で決められたコストで展開していきましょう。

  • 立地条件に基づく広告展開のエリア設定

その地域性を鑑み、来院可能な患者はどのあたりまでかを設定し広告展開エリアを決めましょう。

大きな幹線道路や川などはクリニックに行くのに大きな隔たりとなる場合があります。

半径何kmと短絡的に円を描き診療圏を決めるのではなく、人口密度・年齢層を含め柔軟にエリア設定をしましょう。

ターゲット設定

  • 診療内容に適したターゲットの設定

自院がどのような診療内容を行うクリニックで、患者様の性別、年代、職業などではどのような層が多いのかを把握しましょう。例えば、男性・女性・高齢者・会社員・主婦・学生・小児など。

②ターゲットの生活行動、行動範囲の把握

ターゲットとなる人々の主たる行動はなんなのか?行動範囲はどこまでなのかを把握しましょう。

例えば、徒歩・自転車・車・バス・電車など。

広告媒体の種類 

継続的に告知していく広告媒体

[屋外広告]

いわゆるロードサインのこと。

基本的に土地所有者の方から一部土地をお借りして看板を立てさせていただく媒体です。

主だった目的としては近隣への医院名告知と誘導案内となります。

基本的に年間契約となっており、広告料は看板の大きさと借地料で決定します。

最近は、保険に入っていないので(入れないので)台風被害があってもそのままほったらかしの業者や、

屋外広告物条例を守らない業者も多々あり、選択には注意も必要です。

車社会の地方などに立地の場合には有効な広告媒体です。

ターゲットとしては全世代に有効で、ターゲットとするエリアの主要幹線道路、生活道路、商業施設の前などに設置すると効果的でしょう。

[電柱広告]

電柱広告は月額の広告料が1,600円~2,400円(地域により金額が異なります)ほどと比較的安価の為、

多くの医院に利用されています。

1本の電柱に巻広告(2面)、袖広告(両面)の2タイプがあります。誘導案内はもちろんのこと、

住宅地での開業やターゲットが絞れている科目などは効果的な広告媒体です。

電力系の中電柱と電話系のNTT柱があり、

地域密着媒体なのでエリアを問わずターゲットに絞った告知が可能です。

例えば小児をターゲットとする小児科や皮膚科などは小児というよりも若い母親をターゲットとする為、

スーパーの前や幼稚園、保育園、公園などに掲出すると効果的です。

また、老人をターゲットとする診療科も公民館や公園など老人の集まる場所に掲出すると効果的です。

広告面スペースが限られる為、クリニック名、科目は最低限必要。

あとは、力を入れている検査や売りとなる機器、医師の資格などクリニックに

とって売りとなるものを1つか2つ入れると良いでしょう。

最近では夜間照明がつく袖看板もあり地域の安全性に貢献しています。(電力系のみ)

デザインによって屋外看板以上の効果も発揮でき昨今見直しされている媒体です。

都市地域で電柱がない場所では、消火栓広告も同様に効果的です。

[交通広告]

都市部では交通機関が網羅されておりそれぞれが各自広告枠を設置しています。

原則、各鉄道会社が指名した指定代理店しか取扱いはできません。

主に駅看板・電車内ポスター類・バス広告(車内外)と様々な種類も、料金も豊富で各院の持つ特徴を把握して掲出されるのが効果的です。

通勤で利用するサラリーマン、OLなどをターゲットとする診療科には有効的ですしまた、駅を利用する住民が

多い立地の開業の場合には有効な広告媒体です。

表現方法も掲出箇所が改札付近なのか、ホームなのかにより変化させるのもよいでしょう。

改札付近の場合には接触率は高いものの、接触時間が短い為、クリニック名、科目、場所を大きく記載すると反復効果があり、刷り込み効果が期待できます。

ホームにある広告の場合、接触時間が長い為、より詳細な情報を記載したほうが効果的でしょう。

最近ではデジタルサイネージやAR広告(拡張現実)など最先端の広告もでてきており非常に熱い広告媒体です。

[ホームページ]

インターネット利用者の増加に伴い、ホームページは非常に重要なツールとなっています。

ホームページを制作するにあたって重要なのは検索サイトへの対応です。

ホームページを作っただけではなんの意味もありません。

自院のホームページが検索サイトへひっかかるように制作しましょう。(SE0対策)

また、ホームページは制作ソフトなどでDr,自身が作ることも可能ですが、

検索サイトへの対応、デザインなどを考えるとやはり専門の会社に任せたほうが良いでしょう。

ホームページ制作会社を選択する基準としては

(1)医療機関のホームページを制作した実績が多数あること。

(2)検索サイトへの対策がしっかりできていること。

(3)デザインが見やすくわかりやすいレイアウトになっていること。

(4)費用面が妥当な金額であること。

ホームページも医療法の広告規制に関わることになりました。

思い込みではなく医療法広告規制ガイドラインを熟知している業者を選ぶことが必要です

SNSも内容次第で医療広告ガイドラインが適用され、指摘が入る可能性があります。

SNSは個人的なつぶやきであると主張しても、クリニック名が記載されていれば、ホームページと同様のペナルティがあることを覚えておく必要があるでしょう。

[自院サイン]

広い意味ではこれも継続的な広告といえます。

患者様が「医院をなんで知ったか」という質問に対して「医院の看板を見て」というのが多くあります。

医院の敷地内サインはいわば医院の顔です。費用をかけた認知しやすい看板を製作しましょう。

屋外サインは屋外広告物法関連法規やビル診の場合はビル側の制約があったりするので注意が必要です。

しかし院内サインでは医療法の管轄外ですので思い切った情報が告知できます。

(屋外サインは医療法の規制内となりますのでこれも注意が必要です)

一過性の広告媒体

広告効果は高いですが、広告効果期間が短いのが一過性広告です。

その特徴にあわせ、開院、内覧会の告知として利用されることの多い広告媒体です。

また、開業後も診療時間、診療科目のお知らせや患者様が減少した際に利用される広告媒体です

[折り込みチラシ]

新聞に折り込むチラシ広告です。

診療圏に合せた広告展開が可能で地域密着型の広告媒体といえます。

効果は高いですが、効果期間が短い為、開業、内覧会の告知として利用されることが多く、

特殊な外来を行ってない限りほとんど開業の際は利用しています。

費用については折込料とチラシを印刷する印刷費・デザイン費がかかり、折込料についてはエリア、サイズ、紙の厚さによって費用が異なります。

最近は新聞を取っていない家庭も多く、その効果は懐疑的になってきましたが、スタッフ募集には有効な媒体です。

[パンフレット・リーフレット]

いわゆる院内で配布するパンフレットです。

ブランディングには欠かせないツールとなります。

院内で配布するパンフレットは医療法の広告規制には抵触しないので自院の特徴をできるだけ詳細に記載しましょう。

また、パンフレットは病診連携、診診連携のツールとしても活用できます。

自院の特徴を記載したパンフレットを連携先へ配布してもらうことで、来院する前に自院の特徴を知ってもらえ、患者サービスにもつながります。費用としては印刷物なので紙の仕様、色数、枚数、デザインにより異なります。

[ポスティング]

各家庭のポストに直接チラシなどを投函する広告媒体です。接触率が高い為、有効な広告媒体の一つです。

診療圏に合せた広告展開が可能で地域密着型の広告媒体といえます。

費用についてはポスティング料とデザイン料・投函物の印刷料がかかってきます。

ポスティング料は投函物の仕様やエリアによって費用が異なり、印刷物については紙の仕様、枚数によって費用が異なります。ポスティングも広告です。医療法に抵触しない内容にしましょう。

新聞折り込みチラシと同じですが、まずは医療機関とわかるようにクリニック名、科目を目立つように記載することと差別化をつけられる自院の特徴を記載しましょう。また、ポスティングはパンフレットなども投函できる為、保管してもらえるような紙の仕様にするとより効果的です。但しポスティング業者は、マンションしか配布しなかったり、一部の1戸建てしか配布しないという業者もあり、全戸配布はまずありえませんので注意が必要です。

[フリーペーパー]

フリーペーパーは無料で配布される情報誌です。

配布形式には多種多様あり設置形式、新聞に折り込まれる折り込み形式、各家庭に直接ポスティングされるポスティング形式など、様々な方法で配布されます。折り込み形式やポスティング形式は発行社で設定したエリア設定がありますので自院の診療圏とあわせ検討しましょう。

掲載方法には取材をもとしにした記事を掲載する記事広告、医療機関の情報を広告する純広告があります。費用については掲載方法、掲載枠の大きさなどにより異なります。保管してもらえるケースもあるので、細かい内容まで記載できるのも特徴ですが、医療法の規制内ですから、打合せ時によく確認して原稿を作成しましょう。

発行元により基準も違いますから、これも注意が必要です。広く患者を集められる専門医に向いています。

どの媒体においてもブランディングの統一が必要です。

看板とパンフレットが違うテイストではせっかくお金をかけて作成しても違うクリニックと感じて集患には悪影響です。

ブランディングの統一・医療法の順守が広告展開のキモとなります。      

中部医業経営サポート  安藤徳男